コレクション

靉嘔
「クレーンと人」


1954年 油彩・板 77.3×92.0cm
鮮やかな黄色と、青と白をつかって、裸足の人物の足元、ロープをひっかけたクレーンの鉤が、大きく、明快に描かれています。鉄骨の格子の背景には紡錘形の白い雲が連続し、重なりあって、ジャズの力強いリズムを刻んでいるかのようです。ここでは、人間と機械は対立するものではなく、互いに寄り添いながら働き、ともに成長しようとしています。すべてが破壊された戦争のあと、新しい都市、新しい時代を建設しようとした当時の人々の活気が伝わってくる作品です。
靉嘔は、1960年代に虹色をつかった作品で世界的に注目を集めました。その作品は一貫して、人間という存在を肯定的にとらえたものです。

靉嘔 1931-
1931年茨城県に生まれる。本名:飯島孝雄。
1953年デモクラート美術家協会に出品。
1955年最初の個展を開催。
1958年渡米、ニューヨークで制作。
1962年フルクサスに参加。
1963年この頃より、虹のスペクトルを活かした虹シリーズで注目される。
1966年ヴェネツィア・ビエンナーレに出品。
1970年第7回東京国際版画ビエンナーレで受賞。
2006年「靉嘔AY-O回顧 1950-2006」展(福井県立美術館ほか)開催。